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2009年4月29日 (水)

パナソニックの駐在員家族への帰国指示は時代錯誤

豚由来の新型インフルエンザの流行を見据え、日本の企業数社、例えば、パナソニック、ホンダ、ヤマハが、駐在員の家族への「帰国指示」を出したと報道されている。

パナソニックの場合は、欧米を除くほぼ全世界に居住する家族に、9月末までに帰国するようにと指示を出した。大流行を予測しての事だという。

しかし、これは今の段階では過剰反応であると思われるし、少なくとも、会社が非従業員を「指示」する権限などないという意味で、私はこういった対処は時代錯誤だと思う。

まず、前者から言えば、流行が予測されても、毒性については普通のインフルエンザにきわめて近い可能性が結構ある。また、その点についての科学的見極めをしないで決定しつつも、期日を9月末と長く取っているのは整合性がない。

もっと問題の後者であるが、駐在員の家族は、その駐在員が働く会社のものではない。よって、指示する権限などあるはずがない。それは、一部では家族によかれと思って下した決定かもしれないが、そんなものは余計なお世話であって、リスクと現地生活をたたむ不利益を天秤にかけて、その家族自身が決めれば良いのだ。特に、駐在員の配偶者が別の現地企業で働いているとしよう。その配偶者は、別の会社と契約する労働者である。インフルエンザが流行するからと言って、むやみに自分のキャリアを無視されて帰国させられるとしたら、非情どころか人権の無視である。

所詮、日本企業にとって、駐在の派遣とは、家族丸ごと面倒を見るイベントであり、配偶者に想定するのは専業主婦なのだろうか? 反論としては、駐在員に通常の帰国命令が出たら、家族も帰るじゃないかというものが考えられる。しかし、駐在員が派遣される時は配偶者も同行したかもしれないが、通常でも帰国時はそうとは限らない。例えば、大学に通い続けたり、仕事の区切りが悪いという理由で、配偶者が駐在員より帰国を一年遅らせる事だってあるだろう。

5月17日補足:
ついに日本でも、二次感染がいつの間にか拡大していることが発覚した。アメリカでの2週間前と同じ地点に立っている。今更の帰国指示に、何の意味があろうか?むしろ、無用な人間の移動は、どちらかと言えば、感染者拡大に作用するはずだ。どうする、パナソニック?

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コメント

本件、非常に社内でも大問題になっています。そもそもこの発案をしたのが竹花常務役員とかいう海外赴任経験のなく、しかも警察庁からの天下りのスーパーアホが考えたことらしいです。ですから、警察天下りですから、会長や社長のコントロールも全く利かず、こんな時代錯誤且つ基本的人権を無視した命令が平然と出されるのです。また、会社も先進国や日本での販売がこれ以上市場が大きく伸びない中、これからは新興国での販売を伸ばすことが会社存続の鍵であり、その戦略を強化するように指示していますが、このような松下電器創業以来歴史に残る悪法がある為、会社が行かせたい人材(20-30歳台の若手)が海外勤務を断る始末。もちろん新婚や子供が小さい中で単身赴任を強制することになるので、よほどアホでない限り断りますよね。家族あっての会社生活ですから。また、家族を強制帰国させられて現地に残っている社員も皆疲労蓄積、精神状態はガタガタです。日本帰国後家族全員がH1N1に感染するケース、子供が言うことを聞かなくなり、奥様がノイローゼになるケース、それを心労と思いながらも現地でのキャリアを諦められない葛藤で自殺しそうなケース、命の危険があると言っておきながら、インター高校に通う子供のいる家族は残ってもよいとする理不尽さに、対象にならない家族全員が怒りに震え、心身に異常をきたすケースと、当社の未来はこのままでは絶対に破滅しますね。現地での従業員の雰囲気は最悪、社員は皆心にものすごい不安と不満を抱えながらの業務などできるわけもなく。特に今は日本のほうが感染密度が高く、かえって危険にも拘らず、会社が目をつぶっている実態に社員の不満が最高潮に達してます。リストラ目的であるならば、そのようにはっきり言って、各自のリスク管理のもと、帯同する、しないは家族側に決める権限を渡すべきです。お金の問題ではありません。手当てなど要らないから家族と一緒にいさせて欲しい。それだけです。

投稿: P社のまじめな駐在員 | 2009年11月 9日 (月) 05時54分

興味深いお話ありがとうございます。帰国してH1N1に感染という例は多いのではないかと思います。統計は確認していませんが、ニュースを見る限り、日本での方が海外でより蔓延しているでしょう。私の実家の田舎でさえ、全校生徒の四分の一くらいが感染して、学年単位での閉鎖を繰り返したと聞きました。私はアメリカからの一時帰国を控えていますが、この状況は恐ろしいです。もっと人口密度の高い都会では、状況はさらに悪いでしょう。リスク管理の名の下での素人的命令が、この感染状況を踏まえて撤回されないのは、企業の意思決定として相当不味いといわざるを得ません。家族の権利をないがしろとしている点は、それ以前の問題です。

投稿: Blog Owner | 2009年11月11日 (水) 04時46分

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