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2007年12月 5日 (水)

ウェブブラウザのカラーマネジメント(1)

コンピュータでのカラーマネジメント(色管理)については、他に分かりやすく体系的に説明したウェブサイトがあるので、齧った程度の私が頑張ってBlogに書くこともない。ただ、カラーマネジメントができていない場合に、写真によっては、とてつもなく元と違う見え方をすることは是非書いておきたいと思った。

これは近頃、フィルムをスキャンしてラボでプリント、あるいはインターネットに掲載するようになって、非常に気にするようになったからだ。愛着のある写真が、他のコンピュータでは全く異なって見えると、少なからずショックを受ける。

他のコンピュータでの見え方と言う時、カラーマネジメントには二つの側面がある。一つは、あるICCカラープロファイル(sRGB、AdobeRGB、 PhotoRGBといった、カラースペースに関する情報)を持った写真をアプリケーションが正しく出力すること。もう一つは、そのアプリケーションの出力を、さらにモニタの特性に合わせて変えることだ。後者はモニターのキャリブレーションの問題で、それなりの質のモニタと、キャリブレーション用のハードウェアを買わないとできないことだ。しかしながら、前者はOSとアプリケーションの問題であり、これが正しく行われないというのは、一連のカラーマネジメントの根幹に関わる。Photoshopなどで色を調整したくても、モニタなりプリンタなり、それぞれ異なる特性を持つ機器を通った後の色を見ながら、勘に頼ってやらざるを得ないからだ。

それなのに、コンピュータというものが画像を表示するようになってから、一貫して色を正しく扱えるのは、Macintosh時代からのMacだけである。OSの宗派論争にするつもりではないが、今ほど一般人が盛んに写真や絵をコンピュータで扱い、またメディアが多くの情報を写真を用いて伝える時代に、コンピュータの大部分を占めるWindowsが色を正しく扱えないのは、奇異と言わざるを得ないだろう。

ではどれほどの違いが表れるのか、次の写真で見てもらおう。

// カラーマネジメント 不可 //

// カラーマネジメント 有効 //

一枚目の画像は、Mac OS Xの上で、カラーマネジメントができないウェブブラウザ(Firefox 2)が表示した画像のキャプチャ。二枚目の写真は、カラーマネジメントが有効なウェブブラウザ(Firefox 3 ベータバージョン、設定が必要)が表示したもののキャプチャである。2枚目はApple標準ブラウザのSafariと同じ色になる。緑の発色が一目瞭然に違うことがお分かりだろう。色のマッチングができていないシステムでこのページを見ると、2枚の写真のどちらも正しくない色で見える訳だが、それでも、色に大きな違いがあることを知るには十分な例だ。ちなみに、上のどちらのキャプチャ・ファイルもsRGBのICCプロファイルを持っている。

Windows環境におけるウェブブラウザに関して、カラーマネジメントがどうなっているか、簡単に説明する。まずVista以前でInternet Explorer (IE) 6を使った場合は、完全に無力である。IE 6は画像がsRGBであることを想定しているらしいので、わざわざsRGBに変換したファイルを読ませるが、それでも正しい色で表示されない。上の一枚目の写真と同じ色になる。(追記:この箇所は、「WindowsはsRGBで統一されている」という、自分が持っていた知識に反することを思い出し、間違ったことを書いたかも知れないと思って再度検証した。結果は本Blogの次の記事でご覧頂きたい。)これは、同じシステムの上で Firefox 3 を使って表示したものとは全く違う色になることから、どんなにモニタの出力が狂っていようと明らかだ。VistaとIE 7の組み合わせになると、sRGBならsRGBの色で表示はするようだ(要検証)。しかし、sRGBを想定していることには変わりがないので、それ以外のプロファイルを持った画像は正しく処理できない。唯一、Firefox 3を使った場合にのみ、画像固有のカラープロファイルを個別に解釈し、尚かつ、モニタのカラープロファイルにあわせた表示をすることができる。尚、Appleがベータ版として出しているWindows用のSafariでも、カラープロファイルに対応している。まだ英語以外の言語やフォントに対応していなかった、最初のバージョンからそうだった。Appleが何に価値を見いだしているかを垣間見るようで、面白かった。

一方、Macの場合は、SafariとFirefox 3がカラーマネジメントに完全に対応している。つまり、VistaとFirefox 3の組み合わせと同じことができる。

カラープロファイルへの対応をもう少し詳しく説明すると、あるウェブサイトにどんなカラースペースを持った画像が載っていても、ブラウザがそれぞれを同時に正しい色で出力すると言うことだ。そのメリットの一つは、画像の作成者の事情に左右されないことだろう。画像には、使ったデバイスの都合や、その最終的な利用形態によって、異なるカラースペースが設定されうるからだ。逆に、何のカラースペースを持つかの情報は付与しなければならない訳だが、ない場合にのみsRGBなどのカラースペースで解釈すれば良いだけの話で、IEのように、どんな画像もsRGBに強制する必要はなかった訳だ。もう一つのメリットは、とりわけsRGBというカラースペースに縛られないことがある。sRGBは今となっては古くなりつつある規格で、再現できる色の範囲が限られている。長期的な視野でカラーマネジメントの仕組みを考えると、一時の規格に限定するのは賢明な方法ではない。sRGBの後、より広い色空間を持つAdobeRGBが広まっていたが、最近ではさらに広いPhotoRGBが使われ始めている。

出力側のメリット、つまり、モニタの特性に合わせた色表示をすることのメリットは、説明するまでもないだろう。汎用液晶モニタでは、そもそも性能上の限界があるが、それでもキャリブレーションしてやると、目に見えて色が変わる。(私はX-RiteのEye-One [i1] Display 2というローエンドの製品を使った。アメリカでは200ドル程度なのでお買い得だ。)Firefox 3では、キャリブレーションして作る、モニタ用プロファイルを指定できるのだ。IE 7ではできない。

出力側に関して重要なことを補足すると、Mac OSでは、通常、実はこのようにアプリケーション毎にモニタプロファイルを設定する必要すらない。それはOSが一貫して管理しているからだ。一部で対応していないアプリケーションもあるが、Apple製を含むほとんどのアプリケーションで、個別のモニタに合わせた色を表示することができる。換言すれば、Appleが色管理の仕組みを提供しており、それを利用すれば、入力から出力まで、カラーマネジメントに対応したアプリケーションを比較的容易に作れるのだ。

ついでながら、Intel MacではVMware Fusionを使ってWindowsを同時に走らせることができるが、この場合は、VMware Fusionがカラーマネジメントを行わないので、その中のWindowsでFirefox 3を使っても正しい色にはならない。Mac OS XでFirefox 2を使って見た場合と同じ色で表示される。

最後に。まだまだ IE 6を使う人がかなりを占めると思われるから、Flickrなどにアップロードする写真は、sRGBにするに越したことがない。モノクロ写真の場合は、Dot Gain XX% などというプロファイルはダメで、強制的にsRGBに変換するか、Gray Gamma 2.2などにする必要がある。

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