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2007年12月 7日 (金)

ウェブブラウザのカラーマネジメント(2)

前回の記事では、ブラウザを巡るカラーマネジメントについて書いたが、図らずも「(Vistaより前の)WindowsはsRGBで統一されている」という一般知識に反することになった。自分でも俄に信じられなかったので、今回はその点を検証する。

おさらいがてらに、その命題をもう少し正確に書くと、次のようになる。

  • Vistaより前のWindowsでは、ビューアーを例外とした、システム付属の全てのアプリケーションにおいて、画像のカラースペースがsRGBであることを前提とする。すなわち、Windowsの内部では、全ての画像のカラースペースを強制的にsRGBとして解釈する。これはFirefox 2でも同様である。

  • よって、画像がsRGBというICCプロファイルを持つか持たないかに関わらず、sRGBのカラースペースで作成された画像は正しい色で出力される。(ここのでの「出力」とは、アプリケーションのものであって、ディスプレイやプリンタとは無関係)

これが仕様としてだけでなく結果的にも正しいなら、先の記事でテストしたsRGBの写真は、Windowsのどのアプリケーションでも正しく同様に表示され、また、他のカラーマネジメントされたシステムとも、外部出力時の違いは割り引いても、ほぼ同じに見えなければならない。

ところが、実際に検証してみるとその通りではなかった。

下の表は、3種類の画像を、それぞれWindows XP上の3つのアプリケーションで表示させた時の色再現をまとめたものである。一枚目の画像は、sRGBの色空間を持ち、かつsRGBのICCプロファイルが埋め込んであるもの。二枚目の画像は、sRGBの色空間を持つが、ICCプロファイルは持たないもの。三枚目の画像は、Adobe RGBの色空間を持ち、かつAdobe RGBのICCプロファイルを持つものである。(これらの画像はMac OS XとPhotoshopで用意した。)評価に用いたアプリケーションは、Internet Explorer 6 (IE 6)、OS付属のビューアー、それからカラーマネジメント機能をオンにしたFirefox 3である。(正確な比較のために、Firefox 3のモニタプロファイルに合わせた色変換機能はオフにした。)

Windows XPでの色の再現評価

先に述べたWindowsの流儀から考えると、一枚目(「sRGB」)と二枚目の画像(「なし」)は、3つのアプリケーションのどれを使っても同じ見え方をしなければならない。しかし、「なし」の画像は、IE 6とビューアーで見ると、明らかに色褪せて見えた。即ち、プロファイルがない画像をWindowsが強制的にsRGBとして解釈する方法は、上手くいっていないということだ。(万一、他に原因があり、その解決によってsRGBの色再現を本来のものにする方法があれば、ご教示頂きたい。)

次に、それではsRGBのICCプロファイルが埋め込まれているなら正しい色が表示されるのか、という問題はどうだろう。sRGBのプロファイルを持つ画像(「sRGB」)の色再現には、「良」と「最良」の2種類を示しているが、実は、この二つには明らかな相違があったのだ。この「良」が意味する所は、カラーマネジメントの対象にはなっているようだが、あるべき色の再現ではなかった、というほどのものだ。見る限り正しい再現をしていたのはFirefox 3だけだったのだ。Firefox 3の表示は、同じ画像をMacで見た時のものと同じだった。(参考までに補足すると、評価に用いたWindows XPは、Macbook ProからBootcampを用いて起動している。また、Mac OSでもWindowsでも、モニタのキャリブレーションを行っている。つまり、表示デバイスが同じで、特性も揃えてあるから、私の見た目による色評価は、OSとアプリケーション自体の色再現能力の評価に他ならない。)前回の記事は正しかったことになる。

さらに興味深いのは、「良」と一括りに評価したものが、必ずしも同じ見え方ではないことだ。同じsRGBのカラースペースを持った一枚目と二枚目の画像に限っても、IE 6とビューアーでは、判別が困難なほどではあるが、違いがある。また、二枚目の画像をFirefoxで見た時は、一枚目の画像をWindowsアプリケーションで見た時の「良」ほどではないながら、「不可」の場合よりは良い結果であった。これは、Windowsにおいては、色の管理がアプリケーションレベルでの実装に委ねられてきたという点と符合する。

一枚目と三枚目では、そもそもカラースペースの広さが違うので、それに対応してAdobe RGBの「良」はsRGBの「良」を上回った。

結論を再確認すると、Windows XPにおいては、OS及びアプリケーションレベルでのsRGBへの色の統一すら不完全である。よって、画像が持つカラースペースがsRGBであっても、sRGBというICCプロファイルは埋め込むべきである。また、ブラウザはFirefox 3か、Safariを使うべきである。

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コメント

XPが強制的にアサインするカラースペースは、カラープロファイル:sRGB IEC61966-2.1により指定されるカラースペースとは異なる結果になるということですね。うーむ、意外な落とし穴だなぁ。

投稿: kiwiz | 2007年12月13日 (木) 01時59分

興味深く、複雑な問題ですよね。バッグをウェブサイトで販売してるのですが、せっかくきれいにRAWで撮った写真でも編集してアップしてみるとOSによって全く違った色になることがあり現在試行錯誤しているところでした。そうするとウェブサイト向け写真はsRGBでプロファイルをちゃんと付けて書き出したほうがよさそうですね。 Windowsでの色管理今後改善されることを願うしかないですね。悲しい。。。

投稿: toshi | 2008年2月 8日 (金) 02時26分

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